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秋の七草
2025年9月9日 /秋の七草 は万葉の頃から
秋の七草は、日本最古の和歌集「万葉集」に記載されている山上憶良の詠んだ歌にあるといわれています。
例えば、春の七草は、おもに健康に配慮した滋養を高める効果があるといわれ、食するものでした。
ところが、秋の七草は、なんで七草に選ばれたのかよくわかりません。
すなわち、その万葉の時代に都の近くに生えていた花をうたったものなのでしょうか。
山上憶良の読んだ万葉集の秋の二首
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数(かぞ)ふれば 七種(ななくさ)の花」(巻8-1537)
「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝貌(あさがほ)の花」(巻8-1538)上は、実存する写本の一部です。
この山上憶良(やまのうえのおくら 660?~733?)という人は、奈良時代の優秀なお役人でした。
そして、第八次遣唐使に任ぜられます。
唐にわたり、儒教や仏教など最新の学問を学びました。
ところが、あまりの儒教や仏教の思想に傾倒していました。そして、死や貧困、老いや病などまた、身分差や防人、社会的問題などの矛盾を鋭く観察するようになります。さらに、社会派歌人として活躍していました。そのため、代表的な歌に『貧窮問答歌』、『子を思ふ歌』などがあります。これらは、当時としては、大伴家持や柿本人麻呂、山部赤人らと共に奈良時代を代表する歌人として高く評価されていました。秋の七草、実は薬!?
秋の七草は実は薬だった!?という説があります。
先ほどの山上憶良の歌に登場する秋の七草。
つまり、萩、ススキ(=尾花)、葛、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ(=朝貌)が秋の七草です。下に一覧の表を作ったのですが、ご覧ください。ちょっと見づらいかもしれません。詳細は>>>こちら
ヤマハギ(山萩)
マメ科ハギ属 落葉広葉樹単にハギといえばヤマハギを指す。
開花期は6~9月。山間の明るいところに自生。株が大きくなるため、土留めなどに植えられることも多い。
万葉集には秋の花として多く詠まれ、人気の花材。茶花として扱われることも良くあるが、切花としては流通することが少ない。
ススキ(芒・薄)
イネ科ススキ属 多年草
別名・尾花。尾花の由来は、ススキの穂が動物の尾に似ていることに由来する。実は、花穂は荻(オギ)に似ている。しかしながら、ススキは株立ちになっており、区別がつく。日本全国に分布し、明るい山野に自生する。かつては、茅と呼ばれ、かやぶき屋根の材料になった。一時、アメリカやイギリスのガーデンでは、東洋的な草花として人気だったが、繁殖力が旺盛で侵略的外来種として認定されている。
クズ(葛)
マメ科クズ属 多年草
葛は、葛根湯などの生薬や葛湯・葛切りなど和菓子に利用されることが多い。開花期は7~9月頃となる。つる性の多年草ではあるが、時に大きくなりすぎることがある。そのため、アメリカでは侵略的外来種とされている。根は長い芋状となる。この根の部分を利用する。山野にありふれているため、切花としての流通はほぼない。
カワラナデシコ(河原撫子)
ナデシコ科ナデシコ属 多年草
単にナデシコと呼ぶ場合はこの品種を指す。別名・大和撫子。本州・四国・九州・沖縄諸島・朝鮮半島・中国・台湾に自生する。古くから栽培もされて古典園芸植物として、特に江戸時代にはたくさん品種改良された。伊勢ナデシコなどは、このカワラナデシコの江戸時代の育種とかんがえられている。
オミナエシ(女郎花)
オミナエシ科オミナエシ属 多年草
北海道から九州のほぼ全域に自生する。開花期は8~10月。秋の七草の中でも茶花や生け花の材料として使われることが多く流通量も多い。オミナエシの語源はよくわかっていない。別名オミナメシともいい、古い農家では単にメシと呼ぶことがある。ちなみに白花の品種をオトコエシ(男郎花)とよぶ。
フジバカマ(藤袴)
キク科ユーパトリウム属 多年草
中国と朝鮮半島が原産といわれている。日本へは古い時代に帰化された植物と考えられており、万葉集にはすでに日本人に親しまれていた。花色が藤色をおび花弁の形が袴に似ていることから藤袴と呼ばれる。漢名では香水蘭とも呼ばれ、かつては蘭といえば藤袴であった。班が沸きするとほのかに芳香を放ち、かんざしや香り袋として身に着けていた。また入浴や頭髪剤としても利用していた。
キキョウ(桔梗)
キキョウ科キキョウ属 多年草
日本の他に朝鮮半島、中国、東シベリアに自生する。万葉の頃はこの花をアサガオ(朝貌・朝顔)と呼んでいた。万葉の頃ころから親しまれており、歌の題材となった。園芸種としては、江戸時代にはすでに紫・白の他に、絞り咲きや八重咲など様々なものがあることが『花譜』『花壇地錦抄』などの書物で確認されている。江戸時代末期には緑八重や濃い黄色、ウサギの耳のように咲く兎耳桔梗、平らに咲く平皿の紋桔梗など現代途絶えてしまった品種があった。
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
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